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《 2019.4.11 》
= 介護保険最新情報Vol.718 =

利用者からのハラスメント、特養では7割の介護職が経験 初の対策マニュアル公表


《 介護保険最新情報Vol.718 》

やはり多くの人が被害にあっている。現場では古くから言われていることだが、深刻な実態が改めて浮き彫りになった形だ。

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介護職員らが利用者や家族から受けるハラスメントについて、厚生労働省が民間のシンクタンクに委託して行った調査の結果が公表された。
 
介護現場におけるハラスメントに関する調査研究
 
過去に利用者からハラスメントを受けた経験があるか? この問いに「ある」と答えた職員の割合は以下の通り。50%を超えているサービスが多く、最高の特養は71%にのぼっている。

次のグラフは利用者の家族からハラスメントを受けた経験のある職員の割合だ。居宅介護支援が最も高く、日頃から調整や相談にあたっているケアマネジャーが苦労している実情が読み取れる。その性質上、施設系サービスより訪問系サービスの方が高い傾向にあった。

こうした結果も踏まえ、厚労省は現場向けの対策マニュアルを初めて策定。介護保険最新情報のVol.718で10日に周知し、事業者に活用するよう呼びかけた。
 
介護保険最新情報Vol.718
 

「事実を認めて欲しい」

 

この調査は全国1万件の施設・事業所を対象に今年2月に実施された。21.6%の2155施設・事業所、1万112人の職員から回答を得たという。
 
ハラスメントの具体的な内容は、身体的暴力や精神的暴力、セクハラなど様々だ。例えば利用者本人によるハラスメントをみると、総じて訪問系サービスは精神的暴力の割合が高くなっている。施設系サービスは身体的暴力、精神的暴力ともに多い。セクハラの被害を最も受けているのは訪問看護だった。
 
必要だと感じている取り組みを職員に聞くと、
 
○ 相談しやすい環境の整備

 

○ 事業所内での情報共有

 

○ 利用者・家族への啓発活動
 
などを求める声が目立っていた。実際にハラスメントを受けた場合に希望する対応としては、
 
○ 具体的な方策について話し合う場が欲しい

 

○ 利用者・家族へ注意喚起し、再発防止に努めて欲しい

 

○ 報告をした際は事実を認めて欲しい
 
などが多くなっている。
 

 契約時に対応方針の説明を

 

「ハラスメントを労働環境の確保・改善や安定的な事業運営のための課題と位置づけ、組織的・総合的に対策を講じる必要がある」
 
厚労省は初めて策定した現場向けのマニュアルにそう記載。利用者・家族が置かれている環境、これまでの生活歴、疾病、障害、個々の職員との相性など、様々な要素が絡み合って生じてしまう複雑な問題であることも改めて指摘し、事業所全体で十分に話し合っていくよう促している。
 
実施すべき具体的な対策も盛り込んだ。例えば、ハラスメントに対する基本的な考え方やその対応について、事業運営の基本方針として定めることを勧めている。「ハラスメントは組織として許さない」「職員による虐待と職員へのハラスメントはどちらもあってはならない」。こうした考え方を事業所として決定・共有し、皆が同じ対応をとれるよう意識の統一を図るべきとした。
 
利用者・家族にあらかじめ丁寧に説明しておくことも提案している。何がハラスメントにあたるのか、ハラスメントが発覚した場合はどう対応するのか − 。場合によっては契約を解除する可能性があることも含め、契約書や重要事項説明書により適切に伝えることが大事だとしている。これに加えて、
 
○ 文書で渡すだけではなく、契約時に利用者や家族の前で内容を読み上げるなど、理解されやすい方法で説明する

 

○ 職員による虐待の防止やケア技術の向上に努めていることも併せて伝えておく
 
といった助言もしている。このほか、介護職員が相談しやすい職場づくりを進めることなども要請した。