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《 2019.4.24 》

強まる施設の人員基準緩和論 介護ロボット活用とセットで 財務省も提言


《 財政審の会合後の会見 》

なんとか現場を効率化しないと人手不足が加速する今後はもたない − 。そうした問題意識が背景にある。

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社会保障制度の改革を俎上に載せた23日の財政審で、財務省は「介護ロボットなどの設備に応じて施設の運営基準に差を設けるべき」と注文をつけた。新たなテクノロジのフル活用とセットで最低限の人員配置基準を緩和することなどが念頭にある。来月にもまとめる政府への意見書に盛り込む方針だ。
 
財政制度分科会(平成31年4月23日開催)資料一覧
 
施設の運営基準をめぐっては、今月に入って政府・与党から同様の意見の表明が相次いでいる。
 
経済財政諮問会議の民間議員は11日の会合で、「大胆なICT、AIなどの活用に向けた規制改革を推進すべき」と主張した。
 
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厚労相「少ない人手でも回る現場を実現」 施設のイノベーションに注力
 
自民党の厚生労働部会は18日にまとめた提言の中で、タブレットやウェアラブル、センサーなどを使って安全性を確保することを前提として、「人員基準を緩和すべき」と打ち出している。
 
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介護現場の人員基準、テクノロジ活用で緩和を 厚労部会が了承
 
根本匠厚労相も「より少ない人手でも回る現場を実現する」と語っており、この方向性が今年度の「骨太方針」や成長戦略に書き込まれる公算は大きい。
 
財務省は今回、「施設の運営基準は長らく変更されておらず、近年の介護ロボットやICTなどの普及効果が反映されていない」と指摘。介護ロボットなどの設備に応じて報酬にも差をつけ、生産性を向上させるインセンティブをさらに強化していくことも要求した。
 

「サービスの質を落とす」との批判も

 

厚労省がこのテーマで具体的な議論を行うのは2021年度の次期改定の前年。来年の晩秋が大きな山場となる。今年度の後半には、既にセンサーなどを導入している現場で効果・影響を検証する調査が改めて実施される予定。その結果が1つの重要なファクターとなりそうだ。
 
「人員基準の緩和はサービスの質を落とす」「残された職員がさらに大変になってしまう」
 
現場の関係者の間ではこうした懐疑的な見方が根強い。無理に推し進めれば利用者の安全を脅かしかねないため、厚労省の担当部局も今のところ慎重な姿勢を崩していない。最後はイノベーションの進み具合をみながらの判断となりそうだが、「効率化は不可避」との声は以前より確実に大きくなっている。