まとめ

《 2019.6.20 》

【解説】認知症対策の新大綱、どんな具体策が盛り込まれたか?


《 18日の関係閣僚会議(画像出典:首相官邸HP)》

政府が18日の関係閣僚会議でまとめた「認知症施策推進大綱」− 。その基本理念として「共生」と「予防」が掲げられたが、いったいどんな具体策が盛り込まれているのか?

広告

今回の大綱は、団塊の世代が75歳を超えていく2025年までを念頭に置いたもの。既存の国家戦略の延長線上にあり、いわば「新オレンジプラン」のアップグレード版だ。政府はこれまでの展開を概ね踏襲したうえで、予防の概念などを新たに取り入れて内容の充実を図った。
 
認知症施策推進大綱 資料
 
具体策は5本柱。以下のように分けられている。
 
普及啓発・本人発信支援
 
予防
 
医療・ケア・介護サービス・介護者への支援
 
認知症バリアフリーの推進・若年性認知症の人への支援・社会参加支援
 
研究開発・産業促進・国際展開
 
今回はこのうちを詳しくまとめていく。以降は次回にお伝えする。
 
《関連記事》
認知症施策、「共生と予防」の2本柱 通いの場を拡充 政府、大綱決定
 

普及啓発・本人発信支援

 

ここで主に語られていることは、認知症に関する正しい知識を持ってもらうこと、社会の理解を深めていくことの重要性だ。加えて、そうした普及啓発を認知症の人とともに進めていくことの大切さも指摘されている。
 
できることを活かしつつ生きがいを持って前向きに暮らす本人達の姿が、多くの当事者に希望を与えると説明。ネガティブで暗いだけの画一的なイメージが払拭できれば、早期診断に至る人を増やす効果も見込めるとした。
 
普及啓発の具体策には、認知症サポーターのさらなる養成があげられている。今後は特に、認知症の人と地域で接することの多い小売業や公共交通機関、金融機関などの職員の受講者を増やしていく計画が示された。子ども・学生の頃から認知症を知ってもらうため、小学校・中学校・高校での教育や交流活動を推進するとも書かれている。
 
医療・介護の専門職の対応力もさらに高めたいという。本人の意思をできるだけ汲み取って支援にあたれるよう、研修などに「意思決定ガイドライン」の内容を加えると記載された。このほか、地域包括支援センターの機能のPRを強化していくことなどにより、相談窓口へのアクセスを改善する方針も掲げられている。
 
本人による発信の関連では、当事者らがまとめた「認知症とともに生きる希望宣言」を体現する「希望宣言大使(仮称)」を創設するアイデアが採用された。当事者が直に話を聞く相談活動をサポートしたり、本人どうしが語り合う場の開催を後押ししたりする考えも打ち出している。
 

普及啓発・本人発信支援 主なKPI
 
○ 企業・職域型の認知症サポーター養成数:400万人
 
○ 医療・介護従事者向け認知症関連研修における意思決定支援プログラム導入率:100%
 
○ 広報誌やホームページなどにより認知症に関する相談窓口の周知を行なっている市町村:100%
 
○ 毎年、世界アルツハイマーデー・月間で総合的かつ集中的な普及啓発イベントを開催
 
○ 全ての都道府県でピアサポーターによる本人支援を実施
 
○ 全ての市町村で本人の意見を重視した施策を展開

 

 

 予防

 

ここでは「予防」という言葉の意味がまず語られる。
 
「予防とは『認知症にならない』という意味ではない。認知症になるのを遅らせる、認知症になっても進行を緩やかにする、という意味である」
 
政府はそう明記した。あわせて、「運動不足の改善や生活習慣病の予防、社会的孤立の解消、役割の保持などが予防に資する可能性が示唆されている」と説明。こうした取り組みに力点を置く構えを明確にした。
 
具体策の目玉は、高齢者らが気軽に顔を出せる身近な「通いの場」の拡充だ。自治体の取り組み状況に応じて配分を変える「インセンティブ交付金」を活用し、その数を大幅に増やしていく構想を描いている。こうした「通いの場」では、保健師や管理栄養士などの専門職による健康相談もあわせて実施するとした。
 
加えて、予防に効果があると考えられる活動の好事例を収集し横展開を図ると記載。エビデンスの収集・分析をさらに続け、より良い取り組みの進め方を解説する手引きを作る考えも示した。
 
このほか、予防に資するとされる民間の商品やサービスを評価・認証する仕組みを検討する方針も打ち出している。
 

予防 主なKPI
 
○ 高齢者の通いの場への参加率を8%程度へ
 
○ 成人の週1回以上のスポーツ実施率を65%程度へ
 
○ 認知症予防に関する取り組みの事例集の作成
 
○ エビデンスを整理した活動の手引きの作成
 
○ 介護保険総合データベースやCHASEによりデータを収集・分析し、科学的に効果が裏付けられたサービスを国民に提示

 
残る以降の具体策は次回。改めて詳しくまとめていく。